長野電鉄


長野電鉄は長野駅から長野都市圏の郊外である須坂市、中野市を通って、湯田中渋温泉郷・志賀高原の玄関口である湯田中駅までを結ぶ地方私鉄。全線の所用時間は特急で50分足らず、各駅停車でも1時間少々と中規模程度の鉄道です。


長野電鉄の最大の特徴は、乗車率の高さ。朝夕のラッシュ帯には満員電車が走り、昼間でも長野側では立ち客が出るほどと、もしかすると東京圏郊外より乗っているかもしれません。特急も観光に通勤にと利用されており、血の通った“生きた”鉄道です。


活躍するは中古の譲渡車両。かつて東京で郊外から地下鉄へ直通していた通勤電車は長野の地でも郊外から地下線へ通勤通学客を運び、ロマンスカーは子供たちを展望席に乗せ、成田エクスプレスの車両は志賀高原へ向かう訪日外国人のキャリーケースを荷物棚に満載しています。車両本来の設計思想そのままに活き活きと第二の車生を送る車両たちを見ていると、私には「心の保存鉄道」だと感じられるのです。

Limited Express -特急列車-

北信濃ワインバレー列車

週末運転の観光案内列車「特急ゆけむり~のんびり号~」の中間2両で開催される「北信濃ワインバレー列車」。美味しい軽食とともに信州のワインを飲み放題という、走る喫茶室ならぬ走るワイン酒場といった楽しい列車です。

Local Trains -各駅停車-

Stations -駅施設-

- Memorial of 3500 Series -

名車は有終の美を飾った

営団3000系車両。東京五輪に合わせて開業した日比谷線に投入された地下鉄車両は高度成長期という時代の期待を背負うように、煌めくツヤありステンレス車体に曲面ガラスと、無骨さと優美さを同時に兼ね備えた名車として生まれました。

長野電鉄に譲渡され「3500系」として長らくほぼそのままの姿で活躍してきましたが、2022年を以て定期運用から退きました。日比谷線から東武線や東急線に乗り入れていたように、最後まで通勤電車として“地下鉄”と郊外を直通した、有終の美でした。



2019年に定期運用を終了したO2編成は、引退直前に赤帯を外し営団時代の姿を再現しました。昭和の空気がそのまま残る長野地下線を走るその姿は、まさしく往時の“営団日比谷線”を強く彷彿とさせました。


――いま再びの“バトンタッチ”

もと営団3000系の3500系を置き換えたのは、東京メトロ03系を譲受した3000系。かつて日比谷線で行われた交代劇が、30年の時を経て長野の地でもう一度再現されることになりました。
役目を終え、須坂駅構内で眠りについた3500系の後を継ぎ、3000系が走っていきます。